崖に作られた町 メサ・ヴェルデ

メサ・ヴェルデはアメリカのコロラド州にあるインディアンのアナサジ族が作った岸壁をくり抜いた集落遺跡群のことを言います。国立公園にも登録されており、1978年に世界遺産に登録されました。

<発見と調査の経緯>

この遺跡の存在は1874年には知られていたそうです。しかし、この地の牧場主だったリチャード・ウェザリールが現在「クリフ・パレス」と呼ばれる岸壁をくり抜いて作った住居を発見したため調査を開始。

ウェザリール兄弟が一般の調査で108にも及ぶ断崖くり抜いた遺跡を発見しています。その後1891年に考古学者と地質学者による本格的な発掘が始まりました。

<メサ・ヴェルデの人々>

メサ・ヴェルデがある地域には1世紀ごろに農耕を行っていたアナサジ族という人々が住んでいたと考えられています。この時期をバスケット・メーカー文化と呼び、主にカボチャやトウモロコシを栽培していたようです。他にも特殊な編み方をした籠を用いて木の実などの採取を行い、投槍器を利用してシカやヤギ、野ウサギなどを狩猟していたようです。生活範囲も農耕に適した土地で狩猟に採取もできる場所を選んでいたようです。

1世紀以前はキャンプをしながら生活していましたが1世紀以降になると浅めの竪穴住居や貯蔵穴を作るのが一般化してきます。5世紀になるとより生活スタイルが農耕をメインにした定住生活に移行します。9世紀になると日干し煉瓦を使い、キヴァと呼ばれる儀式を行うための施設を伴った区画の集落遺跡が作られるようになります。この時期をプエブロ文化いいます。そして12世紀になると本格的な岩窟住居を作り、住み始めるようになりました。

<岩窟に住み始めた理由>

このような岩窟住居を作り始めて理由として挙げられるのは“外敵の襲来に備えた”というのが一番に考えられます。広い台地の上よりも狭い谷の方が保安の上でも役に立ちます。また台地上の農耕を優先するためだとも考えられています。日本でも弥生時代に農耕が広まると集落は大きくなりますが外敵の侵入を防ぐため堀を大きくしたり、田よりも高いところに作ったりしました。

メサ・ヴェルデでは台地の上で農耕をしていたために、台地の下の平地ではなく台地の崖沿い、特に崖の際や崖を繰りぬいて生活する必要あったのです。しかし、メサ・ヴェルデ14世紀になるとと突然放棄されアナサジ族はこの土地からいなくなります。理由はわからず、いまだに謎です。なお、アナサジ族のアナサジとは現在もこの地域に住んでいるナバホ族の言葉で「古の敵」「古の人々」というそうです。アナサジ族の消滅に何か関係しているのかもしれませんね。

この遺跡の見どころは何といっても“クリフ・パレス“と呼ばれる岩窟住居です。200室ほど作られ、一番高いものになると4階建ての高さと変わらないものまであります。この他にも先住民が描いた岩絵も残っており、手形や両手を挙げる人、シカや鳥のような動物など生き物や渦巻き模様にのこぎりの刃のような幾何学模様を描いています。

この岩絵からはインディアンの人々の世界観の一端を感じることができるかもしれません。自然も素晴らしく、この辺りはグランドキャニオンのような大きな台地を川の浸食で作られた谷が多数あり、この遺跡もそのような浸食された谷の中にありますので自然の絶景を楽しむことができるでしょう。私たちが想像もしないインディアンの生活と圧倒されるほどの大自然を楽しんでみてはいかがですか。

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